no-manファースト(ミニLP)。
セカンドとの限定2枚組には、ファースト分の詳細なクレジットや歌詞のリーフレットが付いていません。(私のだけ不良品だったらどうしよう!?)
そこで、まずSWJPBOさんのデータを参照しました。
8曲目で参加しているというLara Flynn Boyleの名前が目を引きます。女優さんでしょ?歌も歌うの?Voiceというからには歌ではなく、喋り?
Lara Flynn Boyleと言えば、もう、「あのテレビドラマ」以外に考えられない私!(これだけでちょっと興奮!)
おっと、そんなことより曲を聴きましょう。
T1:Heartcheat Pop
冒頭と中間部のラグタイムジャズ(?)のサンプリングが人を喰ったような印象。いいですね。凝った事がやりたいんだよ~!的な気合が感じられて微笑ましいです。ドラムスは打ち込みでしょうが、ベースラインやギターのカッティングは70年代ファンクの香り。そこに、まんまクラフトワークなテクノ音が加わり、70年代サウンドのコラージュ的再構築とも受け取るのは穿ちすぎでしょうか。タイトルが示すとおり確信犯的に「ポップ」に徹した記号的歌詞ながら、サードアルバムのタイトルFlowermouthにつながるflower in your mouthというフレーズが出てきてニヤリとさせられます。全体的に乾いた音が主流ですが、バイオリンや後半から入るリバーブのきいたギター音が色を添えています。やっぱりベン・コールマンのバイオリンはすごくいいですね☆
T2:Days In The Trees -Mahler
イントロから歌の2行目位までの部分は、すごく「既聴感」があるんです。何だろう?
Human LeagueかTears for Fearsか、思い出せないのですが。とにかく美しい、ミディアム・テンポのエレクトロ・ポップ。奇をてらうことなく、ティム・バウネスのきれいな声、ベン・コールマンのバイオリン、それ以外のサウンドを全部やってしまうスティーブン・ウィルソンの才能を融合させるとこういうサウンドになります、という見本のような曲ではないでしょうか。
T3:Drink Judas
一転してまたリズム主体の曲に。UltraあたりのDepeche Modeっぽい雰囲気。ここで一番活躍しているのは狂おしい旋律を奏でるバイオリンと言えるかも。
T4:Heartcheat Motel
タイトルが微妙に変わっているけれども、T1のリミックスですね。70年代っぽかったT1が80年代後半~90年初頭の音になりました。リズムも凝っているし、いろいろな音が加わってテンションはT1より上がってます。
T5:Kiss Me Stupid
80年代「ディスコ」の香りがします(笑)。ここでもバイオリンが独特の空気をつくり、ギターのカッティングがいいアクセントをつけています。
T6:Colors
冒頭でWelcome to the phenomenon of Donovan!とのナレーションが入ることや曲調から察するに、これはDonovanのカバーのようですね。オリジナルは未聴ですが……。ダンスっぽいナンバーが続いたあとなので、素朴でフォーキーなメロディが心地よいです。でも、ドラムスはドカドカした打ち込み音だったり、ボーカルはお風呂の中で歌ってるのか?というくらいリバーブがきいていたり、ただのフォークソングでないことは押えた音作り。最後にバイオリンがいい感じで暴れて、グレゴリオ聖歌のサンプリングにつながって終わります。確かこの頃グレゴリオ聖歌がさりげなく流行っていたんですよ。(私の周囲だけか?)
T7:Iris Murdoch Cut Me Up
怖い。この曲、すごく怖いです。イントロからして何か出そうな雰囲気。そしてティム・バウネスが淡々と語る凄惨な暴力シーン。ドラムスがだんだんクレッシェンドしてきて、シンセとバイオリンがが不気味な空間を広げていって……キャーッ!!!怖い~(泣)。不安定な旋律をリピートするピアノ、ギター、ベースがそれぞれ無関係であるかのごとく音を重ねて緊張感を高めていく。とにかく怖いけど、すごくカッコいい。最後に童謡で終わるセンスにも、「あのテレビドラマ」と、その監督のイメージが重なります。そして最終曲へ……。
T8: Days In The Trees - Reich
最初の1~2行で「やっぱりー!!」これは「あのテレビドラマ」からのサンプリングじゃないですか!!しかも、とても印象に残っているセリフ。内容的には、大人目線で言えばちょっとアブナイ体験の回想談なんですが、彼女の語り口がなんとも幻想的で、ドラマでも非常に美しいイメージに仕上がっていました。その語りにそっと寄り添うように付けられたサウンドも控えめながら効果的です。
Uh...just from a long time ago....is that OK?...I was 'bout 13 years old...14,maybe....We were going to the roadhouse to meet boys....They were about 20 years old....And were nice to us....And they make us feel like we're older....Rick asked if we wanna go party...And Laura says, "Yes."....And all of a sudden, I feel this knot building up in my stomach....But when Laura gets in the truck with Rick, I go anyway....Stream in the woods....And when I think, it's pale and light up(?)...Laura starts to dance around the boys...She begins to move her hips...back..and forth...And we take off our clothes...I know the boys are watching...Laura starts to kiss Josh and Rick...I don't know what to do, so I swim away...I feel like I wanna run, but I don't...He kisses my hand...and then, me...(sigh)...I can still feel that kiss...His lips are warm ...and sweet...(sigh)...My heart jumps....He's talking, but I can't hear...'twas the first time I ever fell in love.
ドラマが公開されていたのは90年から91年ですから、この曲はブームがまださめやらぬ頃に取り入れたのですね。
発表当時でなく、14年後の今というタイミングでこのアルバムに出会えてよかったという気がしています。当時聴いたら「ああ、Twin Peaksね」とサラッと流してしまっただろうけれども、今だから、すごく懐かしいものに思いがけずに遭遇したという喜びがあるんですもの。最後の単語と共にピタッと曲が終わるそっけなさが最高です。永遠に宙吊りにされた"love"。
<全体>何度か聴いてみて、ファーストとはいえ完成度が高い作品だと思いました。単に自分の好みのストライクゾーンのサウンドだからそう思うのかしら。……いやいや、新奇性や独自性はそれほどでもないかもしれないけれど、やっぱり音のクオリティー自体は、なかなかのものではないでしょうか。限定2枚組の在庫が無くなりしだい廃盤になってしまうのだとしたら勿体ない!
ということで、勢い余って長~い感想を書いてしまいました(^^;)。
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