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2006/04/01

Lay My Love

最近、高橋幸宏さんの新譜Blue Moon Blueをよく聴いています。春らしい、優しげなエレクトロニカが心地よいです。中でもBrian Eno & John Caleのカバー、Lay My Loveが特に気に入っていて(他の曲も良いですけど^_^)、Eno&CaleのアルバムWrong Way Upと交互に聴いて楽しんだりしています。かなり忠実なカバーですが、幸宏さんバージョンの方が音色が軽やかで柔らかい印象ですね。

この曲、歌詞にしびれるんです。一部を引用すると、

I am the sea of permutation
I live beyond interpretation
I scramble all the names and the combinations
I penetrate the wall of explanation
I am the will
I am the burning
And I will lay my love around you
(Lyrics by Brian Eno)

私は順列の海
私は解釈の彼方に生きる
私はあらゆる名前と組み合わせをかき乱し
私は説明の壁を突き抜ける
私は意志
私は燃えるもの
そして、私は、あなたの周りに愛を並べよう
(拙訳)

っく~~~!イーノ先生カッコいい!!
その「順列の海」でおぼれてみたいデスッ!!(←バカ)

ネットで検索していたら、Lay My Loveの歌詞にまつわるイーノの言葉を見つけたので、かいつまんで抄訳してみました。(オリジナルはこちら
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僕はこれまでずっと一人称単数(I)の曲は書きたくないって言っていたんだ。(中略)あと、「あなた(you)」で終わる曲も書きたくなかったし、その間にloveが入るのも嫌だった。でも、ジョン・ケールの影響も一部あって、「いいじゃないか。やってみろよ!」って言われたから、ちょっと気分を変えて自分のルールを破ってみることにしたんだ。そこで「I」を使うだけじゃなくて、全ての行が「I」で始まるようにしたんだ!(笑)
最初に書いたのは"I'm gonna lay my love around you"の部分で、英語だといい感じがする。誰かの周りに花束を置いていくような、肩にマントをかけてあげるような、そんな感じ─誰かを包みこむようなね。でも僕は、「なかなか良いけれども、これだけだと甘すぎるな。ロマンティックすぎる」と思ったんだ。それから他のイメージがいろいろ沸いてきて、それがロマンティックさを打ち消すようなものだったから良かったね。こんな人から愛を周りに並べてもらいたいかなって考えてしまうだろう?「誘惑のシロアリ(the termite of temptation)」とか「自暴自棄のカラス(the crow of desperation)」である人物からさ。
そして、この中にはもちろん自伝的な部分も含まれている。この歌詞が書かれた方法だって歌詞の中に描かれているんだ。(中略)だから、自伝的であるだけでなく、なんというかな─「自己言及ソング」とも言えるよね。
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んもう。先生、素敵~!(まだ言ってる)

☆高橋幸宏 / Blue Moon Blue ('06)(アマゾン/ iTMS

Bluemoonblue

1曲目、いきなりモロにHer Space Holiday節で、驚きました。(Her Space HolidayことMarc Bianchiが参加していることは知っていたんですが、あまりに「そのまんま」だったので^^;)他にはStyrofoamっぽい曲も。もちろん幸宏さんらしさは健在なのですが、いい感じにイマドキな空気をまとっていて、2006年春を心地よく彩ってくれています。

Brian Eno & John Cale / Wrong Way Up ('90) (試聴可)

Wrongwayup

一癖も二癖もありそうなオジサマふたり。ちょっと説教でもされそうなイメージ(苦笑)?が、聴いてみれば意外なほどポップなんですよね~。かくさんのブログにも記事があったので、御一読を!

2006/03/30

Nine Horses / When Monday Comes Aroundの歌詞

Nine Horsesのシングル、Wonderful Worldに入っているアルバム未収録曲When Monday Comes Aroundですが、歌詞カードも入っていないし、いまのところオフィシャルにも歌詞はアップされていないようです。そこで、聞き取りしてみたのですが、いくつか自信のない部分があります。

「こう歌っているんじゃない?」という御意見がありましたらぜひ教えてください!!

こちらのリンクからどうぞ。
☆3/31追記: ↑こちらはMyspace Blogなのでスパイウェアなどが起動する可能性があります。スパイウェア駆除ソフトなどを御利用になっていない方はアクセスを控えた方が安心かもしれません。半日ほど注意書きなくリンクを貼っていて申し訳ありません。
ちなみに、スパイウェア対策についての親切なリンクはこちらです。無料のスパイウェア対策ソフトのDLサイトへのリンクもあります。
スパイウェアの心配が(たぶん)なく、この歌詞が読めるところがこちら(Brokensky.net)にあることが分かったので、心配な方はそちらを参照してください。

2005/11/01

Lyrics☆Lyrics(3) Wonderful World (前編) 

Nine Horsesの新譜Snow Borne Sorrowより、1曲目Wonderful World前半部分訳してみたものの「引用」です。
音の試聴はここで。
原文の歌詞はこちらで読むことができます。

いずれ日本盤が出たらプロによる訳詞が載るでしょうが、「全然違うじゃないかっ」と卵投げたりしないでね(^^;)。ちょっとした解釈や言葉選びの違いで全く印象が変わるから、翻訳は怖いです。

この曲のサウンドに私が感じるものは、ストリングス系の音がかもしだす不穏な空気。そして、コーラスや全体のリヴァーブが作る、重めの浮遊感。モノクロで摩天楼の街を滑るように撮影し、やがて上昇して街を俯瞰するような映像が浮かぶのです。シルヴィアンはBBC Radio3のMixing Itのインタビューで、「この曲のタイトルはアイロニーではない。物事にはいろいろな見方があるんだ」と語っていました。不穏なサウンドにのせて、最初の二節でミスマッチなバラ色の世界が語られるのが、逆に不安感をあおり、そして911のイメージに繋がっていく‥‥。

足が地を離れ、舞い上がった「きみ」が見ている光景は何なのでしょう?現実逃避した、美化された世界?ひとつひとつの言葉は平明ですが、いろいろなイメージを喚起させられます。


Wonderful World

すばらしい世界
きみはそれを享受して、また与える
きみの住む場所では
太陽が空を満たす

夢に満ち溢れた一日
ある一日についての夢
夢がもたらす歓喜に
彼女は心を奪われそう

すばらしい世界で
建物が崩れ落ちる
きみは歩を速め
やがて足が地を離れる
きみは舞い上がり
あらゆる悲哀を見下ろす
そして見知らぬ人々に
恋をする

心が広くなった気がする
強い感情で満たされる
あそこに居場所があるという気が
いままでしたことはなかった

すばらしい物に満ちた
すばらしい世界
人々は夢を棄て
落下する

(原詞 David Sylvian)
(訳 glasshouse)

ロゴ

2005/10/31

Lyrics☆Lyrics(2) Wonderful World (後編)

Nine Horsesの新譜Snow Borne Sorrowより、1曲目Wonderful World後半部分を訳したものを「引用」し、この歌詞に見られる手法と意味を考えたいと思います。(近々、前半部分も「引用」したいと思っていますが^^;)
(カッコ)は、Stina Nordenstamの歌っている部分です。
音の試聴はここで。
原文の歌詞はこちらで読むことができます。

ninehorses

(彼の声が聞こえる
声を出して話しているわ
時々歩きながら口笛も吹く
どうして分からないのかしら?
彼のために涙がでる
涙がでる)

すばらしい世界
涙が出るほどひどい世界
彼女は凶暴なやりかたで
自分を傷つけている
彼女の知る人々は
努力しようとしない
彼らは人生にとらわれ
恐怖を抱いている
こんな時に
彼女は電話をすると約束した
でもぼくらの愛は
小さくしぼんでしまった

すばらしい世界
彼女にはなぜだか分からない
毎朝起きては
泣き続けるだけ

(彼は眠って苦悩から逃れている
この世界が耐えられないと思っている
私はずっと彼と歩んでいくわ
彼のために涙がでる
涙がでる)

すばらしい世界
きみはそれを享受して、また与える
きみの住む場所では
太陽が空を満たす

(原詞 David Sylvian)
(訳 glasshouse)

ロゴ

Rain Tree Crowの頃から、シルヴィアンは人称代名詞(I,you,he,she)を意図的にあいまいに使うということを始めたように思います(例:Black Water)。シルヴィアンの歌うyoushe同じ人物なのかそれともheなのか、スティナの歌うheはシルヴィアンのyouを指しているのか。そうであるかもしれないし、そうでないかもしれない。この一人称・二人称・三人称には、あらゆる人々が含まれうるのかもしれません。
ある人物が語る「きみ」。他の誰かが語る「彼」。別の誰かにとっての「彼女」。「ぼくら」とは誰のこと?「人々」って‥‥?こうした人と人との関わりの矢印が無数に交錯し、すれちがっていく世界。スティナのやる気のなさそうな歌声(笑)も、この「すれちがい感」にぴったりです。多くの場合、男女のデュエットは双方の心が噛み合っている状態を表現すべく歌われるものですが、この曲では正反対なところが面白い。
ポスト911の不安感が不気味にただよう今このときでも、世界を「すばらしい」と見る視点も存在する。911当日、ビルが崩壊し、人々が飛び降りていた瞬間にも、世界の「すばらしさ」を享受している人々が存在していたという現実。この多層性を、不穏な浮遊感あふれるサウンドと共に、あいまいな人称代名詞が見事に表現していると思うのです。

歌詞の解釈は人によって様々ですから、自分の見方が絶対だというつもりはありません。別の解釈をなさった方のご意見もぜひお聞きしたいな。

2005/10/27

Lyrics☆Lyrics(1) The Day The Earth Stole Heaven

Lyrics☆Lyricsという新しいカテゴリで、歌詞についての好き勝手な雑考を書いていきたいと思います。
1回目はNine HorsesのアルバムSnow Borne Sorrowの7曲目、The Day The Earth Stole Heaven (lyrics by David Sylvian)について。このアルバムは他にも興味深い歌詞がたくさんありますが、一番これが分かりやすい(笑)!そして、私は曲調と歌詞の関係がとても気になる方なのですが、その点でも印象的な曲だと思います。(原文の歌詞を見る

歌詞全体を載せるのは著作権に触れるので、部分的に引用します。(和訳部分:glasshouse)


Let me tell you about a friend
She contends she will always love me

ある友人について語らせてくれ
彼女はいつまでも僕を愛するって言うんだ

It’s this ability to lie and deceive
That has lost me completely

彼女の嘘と欺きに
僕はすっかり我を失ってしまった

ロゴ

メタファーに語らせるような難解な歌詞が多かったデヴィッドにしては、痛烈にストレートです。That has lost me completelyという行で、いかに彼女の愛に我を忘れて没入していたかをうかがうことができます。その没入が深かった分、失ったショックや悲しみも大きい‥‥。


To my utter astonishment
it is over

呆然としてしまう
もう終わりなんだ

ロゴ

utter:全くの、astonishment:驚き。それほど唐突に別れがやってきたのか、長い年月をかけてゆっくりと離れていったのではなく、晴天の霹靂という感があります。


Today’s the day the earth stole heaven

今日は、地球が天国を盗んだ日

ロゴ

ともすると陳腐スレスレの言葉が並ぶ歌詞全体を引き締めているのが、タイトルにもなっている、この部分です。このearthは惑星としての地球ではなく、天国(天上の世界)に対比した地上界、下界としてのearth。わずか1日にして天国からガラリと下界に変わってしまったという大きな衝撃、喪失感がシンプルに表現されています。地球・下界を擬人化し、それが天国を「盗んだ」としているのも、イメージをよりドラマティックにしていると思います。

CDが届く前、シルヴィアンのサイトにアップされた歌詞を眺め、その喪失感に胸を打たれていたのですが、CDを聴いてけっこう驚きました。この曲、なんというか、けっこうドライな曲調なんですよね。レイドバックしたアコギの音にトランペットや妙なピコピコ音がかぶったりして、さりげなく面白い音使いですが。曲の構成は、合間に「ラ、ラ、ラ、ラ♪」なんていうコーラスが入ったり、ブレークがあったり、いつになくオーソドックスなポップソングのスタイルです。

この歌詞をあえてオーソドックスな曲にのせることで、自らの体験を「普遍的によくある体験」へと、相対化しているように思えます。Blemishは、アルバム全体がまさに生々しい、苦悩の真っ只中の状態を表現していました(Fire In The Forestのようにうっすら光明の見える曲もありましたが)。でも、この曲では昔話を歌って聞かせてくれているみたい。つらい体験を乗り越えた者がもつ強さすら感じます。ビターな強さを身に着けたシルヴィアン。80年代には想像できなかった姿です。