フレンチなしあわせのみつけ方
昨日の「僕の妻はシャルロット・ゲンズブール」に引き続き、またシャルロットの実夫イヴァン・アタル監督による夫婦共演作です。
こちらは原題がIls se marièrent et eurent beaucoup d'enfants、平たく訳せば「彼らは結婚して、たくさんの子どもができましたとさ」という感じでしょうか。(この時制は半過去でしたっけ?>しゃるろっと先生)「フレンチなしあわせのみつけ方」は、観客をたくさん呼べそうな邦題かもしれませんが、内容に合っているかはちょっとギモンです(^^;)
というのも、シャルロットとイヴァンが演じる夫婦は、かわいい男の子が一人いて一見幸せそうだけれども、実は夫には愛人がいるのです。そして、それに気付いている妻は苦しみながらも夫に何も言えずにいます。イヴァン(映画の中ではヴァンサンでしたっけ)には気の強い妻とケンカが絶えないジョルジュと、モテモテの独身貴族ながら実は結婚して落ち着きたいと考えているフレッドという二人の親友がいて、この三人の男の本音が随所で炸裂。笑わせる場面もいろいろあるのですが、ひらがなを使ってほのぼのとした雰囲気を出している邦題に反して、むしろ、男と女の幸せってなかなか難しいね、というほろ苦成分が強い内容なのでした。
イヴァンが演じている、妻と愛人のどちらか一人を選ぶことができずにズルズルひきずっている男性は下手をすると「いい加減なオトコね!オンナの敵だわ!ぷんぷんっ!!」と嫌悪感を誘うだけの存在になりかねません(特に女性の目にはね)。が、ここはイヴァンの見せ方の上手さ。愛人の部屋から出るときの狂おしいまでの去りがたさ、プレスリーのCan't Help Falling In Loveを聴きながらCDの整理をする妻のうなじに目がとまったときにかきたてられる想い。両方の女性に対する気持ちの強さが画面からこれでもかとにじみ出てきて、「かーーっ!これはたしかに選べないかも……」と、つい納得……はしないまでも、「なかなか道徳の教科書のようには割り切れないこともあるよねぇ」と遠い目にさせる説得力がありました。全体的には説明的な描写がかなり省かれていて、どこまでが現実でどこまでが想像なのか分からないところもたくさんあるのですが、強調すべきところは丁寧に見せている、そのメリハリが印象的です。
最後の方で、息子を学校(幼稚園?)に送っていく途中、ヴァンサン(=イヴァン)が質問責めにされるシーンがあります。
「価値ってなあに?」
「価値は誰が決めるの?」
朝のあわただしさのせいか、「価値を決めるのはフランス大統領さ!」なんてテキトーな返事を返したパパですが、この子どものイノセントな問いかけこそ、監督がいちばん観客に投げかけたかったもののような気がします。
で、音楽ですが(笑)。私には最高としか言いようが(笑)。
だってレディオヘッド!ヴェルヴェット・アンダーグラウンド!使い方も絶妙だし。
シャルロット観たさで借りてきた「僕の妻は…」と「フレンチな…」でしたが、イヴァン・アタルの監督として、役者としての魅力、そして音楽の趣味にすっかりやられた私でした。
もちろんシャルロットのナチュラルな佇まいも、何とも言えないほど素敵でしたよ。
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