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2006/11/01

alva noto + ryuichi sakamoto @ 東京国際フォーラム '06.10.31

夜の国際フォーラム。ふわりと青いガラス棟、ところどころに白いグリッド床が光る地上広場。ホールとホールの間をそぞろ歩く、グレーの人影たち。フェネスのVeniceを聴きながら歩いていたら、音と空間がさざめきながら高めあっていくようで、全身がざわざわしてなぜか涙が出そうになってしまいました。
実用主義の夫は「フォーラムって無駄だよなー」とか「ガラス棟、要らないよなー」なんてことを言うのですが、こういう非日常空間があってもいいのっ!!(怒)
そう言いつつも、実は国際フォーラムでのコンサートは初めてだった私です。

ホールCの11列目に着席すると、ステージにはグランドピアノと、不思議な立体形のテーブル(?)がありました。2台のノートパソコンが載ったそのテーブルは、いかにもカールステン・ニコライの「syn cron」↓っぽい造形。ツアー・パンフのクレジットを見たら、やはりステージ・デザイン=カールステン・ニコライということなので、これも彼のデザインなのですね。表面が鏡面仕上げになっていて、照明によって様々に表情を変えていました。
ちなみに、Carlsten Nicolai(カールステン・ニコライ)はAlva Noto(アルヴァ・ノト)の別名で、アーティストとしてはカールステン・ニコライ名義、ミュージシャンとしてはアルヴァ・ノト名義で活動しているということです。
Syncron
カールステン・ニコライ「syn cron」
山口情報芸術センターのサイトより
このページで、syn cronの映像を見ることができます。(要QuickTime)
このsyn cronについてはかくさんブログ記事で知ることができました。かくさん、どうもありがとうございます(^-^)。

さて、予定時間を少し過ぎた頃に会場が暗くなり、ステージにお二方登場。坂本さん、相変わらず(笑)。アルヴァ・ノトさんは「いかにもドイツのお方」という印象(すいません、ベタな偏見に満ちてて 苦笑)。ピアノ椅子に一旦座ったかと思いきや、教授が腰を浮かせて、ピアノの弦を叩く、引っ掻く。おおっ。武満徹の「ピアニストのためのコロナ」みたいに、宇宙の彼方から響いてくるような荘厳な音です。その音に連動してステージ後方の横長のスクリーンに光が点滅して、おおっ。鍵盤と光や映像が連動するというのはD&Lツアーの時からやっていたような気もしますが、ここまでミニマルなセッティングだと、非常にダイレクトで映えます。そして、アルヴァ・ノトもじわじわ音を出し始める。なんだかもう、このオープニングからものすごく感動してしまいました。日常の雑然とした時間からは隔絶された、徹底的にミニマルでストイックで、それでいて無限の広がりを感じさせる異次元空間。

vrioon, insen, revepを手に入れたのがごく最近だったこともあって、ちゃんとしたセットリストは把握できませんでしたが、アルバムの音をそのまま再現するのではなく、かなりアドリブも加えられた演奏でした。MCは一切無し。3回のアンコールの最終が、revep収録のax Mr.L.(戦メリを解体した曲)。

ずいぶん昔のこと、友人が、「マンションの高層階から明け方の街を眺めていたら、誰も通らないのに、街道沿いの信号機たちが点滅を繰り返していてとても幻想的だった。見せてあげたかったよ」と話してくれたことがありました。まだ夜の明けきらない無人の街で、静かに点滅する信号機。交通整理という機能を取り払われたその点滅は、信号機同士で交信しているような、あるいは、その友人のようにそっと見ている誰かにだけ光のパターンによるメッセージを送っているように見えるのではないかと想像しています。今回のコンサートも、坂本龍一のピアノとアルヴァ・ノトの電子音が交信しあい、観客に届き、スクリーンの光が点滅し、複数の光のパターンが互いに干渉しあい、点滅を繰り返し、観る者の視覚を刺激し……と、音と光による交信が幾方向にも発せられ、絡み合う、「交信の饗宴」といった感でした。音が、光が発せられるたびに、何かが生まれ、何かが消え、移ろっていく様子には、生命の誕生と死や、宇宙の星々の変遷のイメージが重なっていきます。言葉(MC)が全く無くても、たくさんのメッセージを全身で受け取ることができた一夜。

非常ーに贅沢なわがままを言ってみれば、これ、カールステン・ニコライのsyn cronの中で聴けちゃったりしたら、トビまくりじゃない?って気がしました(笑)。まあ、音響的にはホールが一番なのでしょうが、あの音と光に360度包まれたら、とんでもないことになりそうです。

あと、観客一人一人がちょっとした器具かコントローラーのようなものを手に持ち、感動に応じて(体温とか心拍数とかに連動)発光装置が光るなんていうのはどう?(笑)盛り上がったらホール中が満天の星空みたいに瞬いたりして。そういうインタラクティブなイベントがあってもいいんじゃないか、なんてことをちょっと考えたりしました。

実はこの帰り道、ちょっと気になる出来事があったのですが、それについては後日……書く、かな?(もしかすると気が変わって書かないかもしれませんが。)

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コメント

こんばんは。

実は10月28日の記事で「ブランクーシの彫刻のようにひんやりと」と書かれているのを読んで以来、気になってどうしようかと思っていたのですが、このレポと写真を見て決心しました。アルバム聴きます!

ディテールに反応しちゃってすみません。ブランクーシ、大好きなんです。

あ~
やっぱり行けばよかった。グラちゃんのレビューを読むとますます心が騒ぎ出してしまいますわ。もう遅いけど(>o<)
音と光と映像の連動する空間、ため息でちゃいますね。
もし私がお金持ちで、ひと財産築いていたら、skmt ミュージアムを作りましょう!イメージは直島?(笑)照明はタレルにお願いして~ブラブラブラ。今度は真剣にその企画でもいかが?楽しい時間が過ごせそうです。
まずは宝くじかしら!

「交信の響宴」でしたか〜体験してみたいですねえ。
頭の中ではイメージがわくけど、あくまで頭の中で・・・
その下に佇んで、音と光を感じ、全身でイメージを浴びることが
できたら どんなにか素晴らしい体験でしょうね !!!
最後の「気になる出来事」が気になりますが〜〜〜
流星群を見たとか、きっと何かいいことがあったんでしょうね(^^)

>kensukeさん
ディテールへの反応、うれしいですよ♪
ブランクーシ、いいですよね!
ああいう造形を前にすると、言葉というものの無力さにうちひしがれたりして。。。


アルバムを聴かれたら、ご感想をぜひうかがいたいです!

>chikaさん
機会があったら今度こそ一緒にskmt体験がしたいですね。
skmt美術館、いいかも!設計はご主人で(笑)。
まずは宝くじ!!

>かくさん
かくさんのおかげで事前にシンクロンの映像を見ていたから、余計に楽しめたような気がします。
会場でinsenヨーロッパツアーのDVDが販売されていました。私は手持ちが心許なかったので買えなかったのですが(泣)、いずれ一般発売もされるみたいですよ。
あのコンサートの後で流星群が見られたら最高ですが、残念ながらそんないい出来事じゃないんですわー(苦笑)。

こんばんは。
ようやく『vrioon』『insen』『revep』をHMVで入手、順番に繰り返し繰り返し聴いています。

静謐なピアノとエレクトロニクスのかけ合い(でいいのかな。うん。かけ合いに聴こえます)が、とても心地よくて。技術的には良くわからないのですが、ときに即興のようにも聴こえるし、ときに教授の生音をHerr Notoがリアルタイムで加工しているようにも聴こえます。これがライヴだとまた違う体験でしょうね。聴いてみたかった。いずれにせよ大好きな3枚になりました。ありがとう。

音の色イメージとしては、寒色系の印象を受けました。余談ですが、ブランクーシの作品は僕のなかでは暖色系なので、うーん、どちらかと言うとモンドリアン?とか思いました。余談です。

>kensukeさん
vrioon、insen、revep、気に入っていただけたとは、嬉しいです!

まさにかけ合いですね。ライブだとさらにCDの音をとりこんだ上に即興の音を重ねたり、その場でエフェクトをかけたり、いろいろ工夫されていましたよ。

別記事をたてる予定ですが、今月号のサウンド&レコーディング・マガジンにinsenツアー関連のインタビューや写真がたくさん載っています。コンサートに足を運べなかった方々にも興味深い内容ではないかと思いました。
http://www.rittor-music.co.jp/hp/sr/

ブランクーシは暖色系のイメージですか。金色の作品も多いし、フォルムが柔らかいから?
こういうと後出しジャンケンみたいですが(笑)、以前の記事で「Brian Eno& Harold BuddのThe Pearlをモネの睡蓮とするなら、Alva Noto + Ryuichi Sakamotoはモンドリアン」という喩えを書きかけてやめたので(アート系の喩えが多すぎるのもどうかと思い)、モンドリアンというのも共感します。

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