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2006/05/30

鋤田正義写真展

ただいま銀座のクリエンションギャラリーG8(第一会場)と、ガーディアン・ガーデン(第二会場)[会場マップはこちら]で開催されている、鋤田正義写真展を見てきました。(6月2日まで)

Sukitamasayoshi

ボウイやマーク・ボランの写真で有名な鋤田さんですが、シルヴィアンの写真も1枚あったと教えていただいたので‥‥。行ってみたらYMOのジャケット写真や、マッドネスのホンダのコマーシャル・ポスターなんていう懐かしいものもあったりして嬉しくなってしまいました。ジョン・ライドン、ディーヴォ(この写真、笑えた~^◇^)なども。

それにしても写真の一枚一枚が、まるで被写体の人物が「そこにいるような」存在感を放っているのです。ロックスターをそれほど近くで見たことはない(※1)ので何とも言えませんが、オーラが凝縮されている分、もしかすると実物以上の存在感かもしれません。それが、部屋中の写真から発せられるのですから、圧倒されました。

‥‥シルヴィアン写真は、服装などから、たぶんGone To Earth頃ではないかと思いました(※2)。貴重な情報源のDavid Sylvian.netがまだクローズされているので確かめられないのですが。若き日のシルヴィアンの、ほぼ等身大の上半身写真を間近に見て、なんだか照れてしまった私です(笑)。写真なのに、あんまり近寄ると胸騒ぎがしてきそう。じっくり見たいのに、ついつい目を伏せてしまうほどの美しさでした(あ、スティーヴ・ファンですけど^^;)。(※3)

修行時代の写真や乗り物写真などを集めた第二会場の写真も見ごたえがあります。しかも、入場無料。今週金曜日までなので、足を運べる方はぜひ!

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☆追記(※1):いわゆる古典的な「ロックスター」とは異なりますが、昨年、坂本龍一さんとツアーメンバー(スティーヴ・ジャンセン、フェネス、スクーリ・スヴェリッソン)に、サイン会で間近にお会いしたことはありました。その時、オーラとは、こちらが受け止めようとすれば感じられるし、こちらが興味を持たなければ感じられないものではないかと思ったものです。(古典的「ロックスター」の場合は、また別かもしれませんが。)オーラは、発信者と受信者の周波数が一致して生まれるのかもしれません。そういう意味でも、鋤田さんの写真はオーラを最大限に増幅させるまでに、被写体と周波数をシンクロさせていたように思います。

☆追記(※2):この写真の撮影時期に関しては自信がないので、よくご存知な方は教えていただけると嬉しいです。

☆追記(※3):上の記事を書いていた時点では、シルヴィアンの写真を見て照れてしまうのは、自分のファン心理と彼の美しさのためだろうと考えていましたが、他にも理由があるように思えてきました。他のポートレートとシルヴィアンのポートレートは、被写体の「見られる」「撮られる」ことにたいする姿勢が決定的に違うのです。例えばボウイは、自分が表現したいことをカメラがどこまで写し撮れるか挑んでいるような、アグレッシヴな被写体です。ボウイに限らず、多かれ少なかれ、どのミュージシャンのフォトも「オレを見てくれ」「オレを撮ってくれ」とアピールしているのが画面から伝わってきます。

でも、シルヴィアンは違う。被写体としての自分の魅力は充分意識しているし、撮られることを受け入れ、エネルギーをカメラ「にも」向けているけれど。それでもどこか、視覚化することのできない思考なり想念なりを、カメラに奪い取られないように、自分のものとして保持しようとする意思が感じられるのです。静かだけれども、とても強い意思が。それでいて、美しく、なおかついろいろなものを発信してくる写真になっているところが、被写体自身の魅力でもあり、鋤田さんの力でもあると思うのですが。

「見られる」ことを受け入れつつも、自分の全てをさらけ出すことは拒絶している、そんなポートレートはあの会場でシルヴィアンの写真だけでした。私がその写真を見て照れてしまったのは、彼の「見られる」ことに対する緊張感が画面から伝わってきたためではないか。そんな風に、後になってから考えました。

‥‥ダラダラと駄文を連ねてしまいましたが、もう一度見たいです、あの写真。

2006/05/28

「武満徹│Visions In Time」展と、武満の言葉

東京オペラシティーアートギャラリーで開催中の「武満徹│Visions In Time」展に行きました(2006年6月18日まで)。音楽家の世界を展示という形式で「見る」ということに、期待半分、不安半分で赴いたのですが、結果的にかなり楽しむことができました。

特に刺激的だったのは、若かりし日の武満徹と、瀧口修造の関係です。武満による繊細な手書きの楽譜、瀧口の自作オブジェやメモに書きとめられた言葉の断片などからたちのぼるオーラ。言葉と音と視覚芸術の相互作用。遊び心も秘めつつ、何物かが創造される瞬間の可能性の息吹に満ちていて、まぶしかったです。

他にも、武満がインスピレーションを得た美術作品の数々や彼自身の絵、遺品などが展示され、時おり傍らに武満自身の言葉が添えられています。その言葉を読んで、彼の慧眼ぶりに感銘を受けました。当然と言えば当然ですが、優れた表現者はやはり、受け手としても卓越した眼を持っているのですね。しかも、それはアートに対してだけでなく、生きることそのものについて深く洞察する眼であることが、伝わってくるのです。

ちょうどカタログに、武満が「眼」について記した文が載っていました。

私は本を読むたびに、それによって私の「眼」が鍛えられたら、と思う。
特殊な芸術の世界だけでなく、たえず変化して行く、予測できない日常の世界を、その眼で見るのだ。(中略)そのために、なるべく本を読むように、また、なるべく本を読まないようにという困難な読書の仕方を、私は自分に課している。
(「武満徹│Visions in Time」展公式カタログ p.162より)

Visionsintime

この「なるべく本を読むように、また、なるべく本を読まないように」という感覚、よく分かるような気がするのです。それがなかなか困難であるということも、日々痛感しています。

このカタログは、通常の美術展のカタログと違い、展示作品の写真やデータだけでなく、武満の著作から抜粋された文が多数収録されているのが魅力です。展覧会の余韻にひたりながら、その言葉の数々をかみしめています。
展覧会に行くことのできない方も、アマゾン等で購入可能です。

さて、シルヴィアン・ファン目線の情報を。
会場ではラッセル・ミルズのアート作品と、「トオルのいない庭で」と題されたシルヴィアンの文章が展示され、ヘッドフォンでBeekeeper's Apprentice(アルバムApproaching Silence収録)を聴くことができるようになっていました。上述のカタログにも「トオルのいない庭で」と、ラッセル・ミルズ&シルヴィアンのインスタレーション「エンバー・グランス」について武満が書いた文章が収録されています。
それにしても、武満とシルヴィアンの間にこれほど親交があったとは知りませんでした。ロンドンのホテルで昼食をとりながらシルヴィアンと武満、坂本龍一の3人がコラボレーションの構想を話し合っていたなんて!想像しただけで倒れそうです(≧◇≦)。片や現代音楽、片や(いちおう)ポップ・ミュージックと、異なる分野で活動していた二人ですが、音や言葉のテクスチャーの好みなどは確かに通じるところがあるような気がします。

昨晩は寝る前にピアニストのためのコロナという曲を聴いていましたが、ゾクゾクしました!本当にコロナで焼き尽くされるかと思った‥‥。

武満徹の音楽や言葉に、これからも少しずつ触れていきたいと思いました。

2006/05/25

Ryuichi Sakamoto / Bricolages ('06)

坂本龍一2004年発表のアルバムChasm(キャズム←すいません、半日ほど間違えてアップしてました^^;)のリミックスアルバム、Bricolagesが届きました。

Bricolages

ブリコラージュ(あり合わせの道具や材料で物を作ること。日曜大工。器用仕事。転じて、持ち合わせているもので、現状を切り抜けること。byYahoo!辞書)という言葉を聞くと、大学時代にレヴィ=ストロースの『野生の思考』の読書会を仲間内でやったのを思い出してタイムスリップしてしまいます。あの古びた研究室のテーブル、黒電話(!当時も巷ではほとんどみかけない代物でした)、コーヒーの香り。私は出来の悪い参加者だったので、内容に関する記憶はあんまり無く(苦笑)、ただ、ブリコラージュという耳慣れない言葉と、レヴィ=ストロースのコピーライティング・センス(『悲しき熱帯』にもしびれる!)だけが印象に残ったのですが。青山ブックセンターで公開されていた「坂本龍一の本棚」にも『野生の思考』があったそうですから、タイトルのインスピレーション源はやはりここからでしょうか。

実はリミックスアルバムってあんまり好きじゃないのです(苦笑)。「なら買うな」って話ですが、好きなアーティストのリミックスアルバムはやっぱり一応買っちゃうんですね~。で、大体いつも何度か聴いたらCDラックにしまい込むのがオチだったりします。

でも!まだ数回しか聴いていませんが、これはいい!リミックスアルバムにありがちなバラバラ感がなくて、それでいて適度なバラエティーもあって。昨年のツアーメンバーをはじめとする人選も良いのでしょう。それと、もともとChasmはメロディーや歌よりも様々な音のコラージュという性格が強いので、リミックスして再構成しやすい題材であったということも言えそうです。Chasm2曲目、Coroのリミックスも聴いてみたかったけれど(どう料理すればいいんでしょうね?あれは^^;)、あの曲をやる人はいなかったんですね(笑)。

どのリミックスもなかなかですが、今のところ一番気に入っているのは20msec. by Fenneszと、20msec. by Craig Armstrong。オリジナルも、抽象的でモニュメンタルな音と胸騒ぎがするような微妙なリズムの掛け合わせが絶妙で、大好きな曲です。Fenneszのリミックスはもう完全に「フェネスの曲」になってしまっていて、繊細な音の泡にシュワーッと取り囲まれる忘我の境地。対して、Craig Armstrongの方は、オリジナルの音を忠実に下敷きにしているけれども、人の声やピアノ、ストリングスを足すことで、抽象的な原曲から叙情性を引き出していてドラマティックです。さすが数々の映画音楽を手がけているCraig Armstrongだけに、そのままサントラになりそうです。

昨日の雷雨をバックに、20msec.のオリジナル、Fennesz、Craig Armstrongリミックスを続けて聴いていると、何ともいえない心持ちでした。

1.War&Peace AOKI takamasa Remix
2.Undercooled Skuli Sverrisson Remix
3.War&Peace Cornelius Remix
4.20 msec.Fennesz Remix
5.undercooled Alva Noto remodel
6.World Citizen Taylor Deupree Remix
7.Only love can conquer hate snd. Remix
8.Seven Samurai Richard Devine Remix
9.word Rob Da Bank & Mr.Dan Remix
10.20 msec.Craig Armstrong Remix
11.NGO/bitmix Slicker Remix
12.break with Steve Jansen Remix
13.Motopiate Thomas Knak
14.Lamento Haruomi Hosono Remix

2006/05/23

The Butterfly Effect

「バタフライ効果」とは、初期条件のわずかな差が時間とともに拡大して、結果に大きな違いをもたらすという、カオス理論を表現した思考実験のひとつだそうです。ネーミングの由来は、「北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークで嵐が起こる」とたとえられることから。(Wikipedia参照

Butterflyeffect

その「バタフライ効果」をタイトルにした映画、The Butterfly Effect(全米公開2004年、日本公開2005年)を見ました。誰でも「あの時ああすればよかった」「あれをしなければよかった」などと振り返ることがあると思います。大学生の主人公(アシュトン・カッチャー)は、子ども時代の日記を読むことで過去に戻り、気になっていた言動をやり直せることに気付きます。でも、過去をやり直すたびに、大切な友人や自分自身の現在に大きなしわ寄せが来てしまい‥‥。児童虐待、爆破物設置、恋人が娼婦に転落、母親が重病、自分が刑務所入り、といった出来事の数々が、めまぐるしく現れては塗り替えられていきます。最後に彼がとった究極の選択は、ほろ苦いながらも、ストンと心の中に落ちていくものでした。

マルチエンディングのロールプレイング・ゲームや小説の発想が取り込まれているのでしょうが、ラストのおかげで上手くまとまっていると思いました。アシュトン・カッチャー、好みのタイプではないはずなんですが、カッコ良いです(笑)。

私自身はRPGはやらないし(一度手を付けたら、のめりこんで収拾がつかなくなるのが目に見えているので^^;)、マルチエンディング小説は食わず嫌いで読んだことがありません。小説は作者の意図がストーリー展開から伝わってくるものであって欲しいと思ってしまうんですよね。ただ、創作作品についてはそう思いますが、現実の人間にはあの時違う選択をしていたらどうなっただろう?と想像する自由が必要だと思います。現実の人生はマルチエンディングでないからこそ、イマジネーションの中だけでも若干の遊びがないと、息が詰まりそうだし‥‥。それに、「もし自分が今とは違う状況にいたら」と想像することがなかったら、自分と立場の違う人の気持ちを想像してみることもできなくなりますから。時には、想像の翼を羽ばたかせようではありませんか。

そうそう、忘れちゃいけない。エンディング・ソングはOasisのStop Crying Your Heart Out(アルバムHeathen Chemistry)♪

バタフライ・エフェクト日本版映画サイト

[DVD]バタフライ・エフェクト

[小説] 「バタフライ・エフェクト」ジェームズ・スワロウ著、酒井紀子訳

2006/05/20

脳内旅行

ここのところリアルライフが盛り上がっていて、なかなかブログ・モードになれずにいました。リアルライフが充実していると地面に足がちゃんと着いている気分で良いのですが、たまには息抜きしないとね。そこで、しばしの脳内旅行。以前記事にしたことのある、英国ブライトン出身のインディーズ・バンドVeldtのPVです。

Veldt / Walking In Silence

う~ん、気持ちいい♪
このメロディー、大袈裟なアレンジ(笑)、英国の風景‥‥。
え!?これから初夏を迎える季節に似合わない?
スーツにネクタイの男性が映っている映像はお仕事を思い出して嫌?
‥‥そんなご意見もあるかもしれませんが、私にとっては体内に封印していたノスタルジーを解放する脳内旅行にいざなってくれる音楽&映像です。(^_^)

このVeldt、いよいよ6月にファースト・アルバムThe Cause: The Effect(アマゾンHMV)をリリースするそうで、個人的に「買い」が決定しておりまーす。

Veldt in Myspace
Veldtオフィシャル

Rockで学ぶ英文読解 第4回

キーボーさんのブログ「一万円ロック生活」との連動企画、早くも第4回です。

今回は、私も好きな(夫の影響で聞くようになった数少ない^^;バンド)Nirvanaの、ある曲からです。

第4回 4つの「All」 [質問編]

第4回 4つの「All」 [回答編]

2006/05/13

トム・ヨークがソロ!?

5月1日(でしたっけ?)、「Radioheadの新譜が今年は出ない」というニュースを聞いてちょっと凹んでいました(でも、無理して納得のいかない物を出されるより良いです)。それがなんと、トムがソロアルバムを出すとは!しかも7月5日発売だなんてもうすぐじゃないですか!(ええ、年齢とともに、月日の流れはとっても速くなっています^^;)

トムのソロ。とむのそろ。とむとむとむとむ。う~ん、良い響き♪
Radiohead関係についてはずいぶん長いこと飢えていて、もうガッサガサの砂漠状態ですから、「はーはー(;´▽`A``」しながら発売日を待つことにします。アルバムタイトルはThe Eraser!

The Eraserミニサイト

☆フィル(Drums)のお母様が亡くなったそうです。御冥福をお祈りします。

2006/05/11

ストロークスが大トリ!!!!

噂されていましたが、やはりフジロック大トリがThe Strokes!!!

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060511-00000033-sanspo-ent

もうダメです。不良母はチケット申し込みしちゃいました。オロオロ。

‥‥電子チケットぴあの抽選にはずれたら諦める。かな?

FUJI ROCK FESTIVAL '06

2006/05/10

記憶の残像、そして、The Virgin Suicides

頭の切り替えが上手い人と、下手な人がいます。私はというと、とっても下手なんです。先日ネット断ちをしなくてはいけないと感じたのも、ブログで書きたいことがいっぱいあって、他の事がほとんど考えられなくなっていたから。没頭すると寝食忘れてしまうタイプなので、ブログで頭がいっぱいになると、夕食に食べたいもののことなんか、全く考えることができなくない日々が何日も続いたりして。一人暮らしならそれでもいいかもしれませんが、家族がいるとさすがにマズイです。

ブログ記事を書き終えアップしても、何度も読み返して直すところはないか考えこんでしまうし、気に入った部分があれば、そこを何回も頭の中で反芻してしまう。誰かを好きになれば、その人のことばっかり考えてしまう。学生時代は、試験勉強を終えて寝てからも、夢の中で数式を解いていたりして、うわ~うざい(苦笑)!ホワイトボードを消すように、必要のないことは心と頭の中からサッと消して次のことに移りたいのに、残像がいつまでもいつまでも残ってしまうのです。

ここ2日ほどリアルライフがとても忙しくて、すっかりブログのことは頭から追い出さざるを得なかったのですが、ようやく一段落ついてブログのことを考える時間ができたのに、まだその忙しかった用事の内容が頭の中をずんずん走っています。「まったくもう!」ってことで、逆にそれをネタにしてみました(笑)。

Virginsuicides
DVD:ヴァージン・スーサイズ

ちょっと強引ですが、「記憶の残像」というイメージが出たので、GW中にDVDで見た「ヴァージン・スーサイズ」。舞台は70年代アメリカの住宅地。リスボン家の13歳から17歳までの年子の美人姉妹5人は周囲の少年達の憧れの的だった。だが、末娘が謎の自殺をとげてからというもの(あるいはその前からかもしれないけれど)、歯車がどこか狂いはじめ、最終的には4人の姉達も皆自殺してしまう。少年達は彼女らが忘れられず、大人になっても彼女達を思い出しては自殺の理由を問い直さずにはいられない‥‥。その過程を、まどろむような甘美な映像で淡々と綴っていく映画です。(日本公開2000年)

「ロスト・イン・トランスレーション」のソフィア・コッポラ監督の処女作で、ちょっと素人っぽい手作り感が残っています。それが逆にティーンエイジの女の子っぽい雰囲気です。Jeffrey Eugenidesによる原作小説は読んでいませんが、自殺した本人たちの視点ではなく、少年(達)の視点から描かれているところがミソだと思いました。本人達の心理を分析的に描写するのではなく、あくまでもカーテンのかかった窓越しに淡く垣間見る感じ。憧れて、深く知りたいと思っても、とらえることのできないもどかしさ。いつまでも拭い去ることのできない残像。

日常生活がスムーズに回らないほど、記憶の残像に振り回されるのは困ります。それに、自殺のような悲しい事件も、小説や映画の中でならともなく、現実にはできるかぎりあって欲しくないことです。でも、ちょっと甘酸っぱい記憶の残像が全くない人生も(あり得ないかもしれませんが)寂しいですね。このブログを読んでくださっている皆さんの記憶は、どんな残像で彩られているのでしょうか。

Thevirginsuicides_1
原作本:Jeffrey Eugenides / The Virgin Suicides
現在のところ、翻訳は出ていない模様。

Virginsuicidesst

サントラ:Air / The Virgin Suicides (試聴可)
フランスのデュオ、エールによるサントラ。
ダークな甘さの、中毒性のあるサウンドです。

Thevirginsuicides_3
サントラ:VA / The Virgin Suicides
Todd RundgrenのHello, It's Meや10ccのI'm Not In Loveなど挿入歌がおさめられたサントラ。70年代の香りでいっぱい。

2006/05/08

「砂の果実」と1997年

1997年、私のお腹にはノンノン1号がいました。仕事の引き継ぎを済ませ、ゆっくり妊婦生活ができるようになった私がしたことは‥‥MTVを見まくること(笑)!
いや~、至福の数ヶ月でした(笑)。

その頃、MTVで流れていた曲のひとつが、中谷美紀さんの「砂の果実」。「♪生まれ~て来なければ~、本当は良かったのに~」という歌詞(作詞:売野雅勇)がショッキングでした。さすがに「私の胎教になんてことしてくれるのッ!?」とは叫びませんでしたがw‥‥(そういうことを気にする人は妊娠中にMTVは見ませんよね^^;)。

これから子どもを産む身としては、あんまり聞きたくない種類の言葉だと思いましたが、かつて子どもだった自分を振り返れば、思春期の頃にはそんなことを思った時期もありました。今思えば、自分が自分として生きていくことをあたりまえのこととして受け入れていた無邪気な子ども時代から、意識的に自分の人生を引き受けるまでの過渡期には、「何も考えずにあたりまえに生きている自分」を一度否定するプロセスが(少なくとも私には)必要だったのだと思います。

ちょうどこの曲が流れていた頃、残酷な殺人事件の犯人が14歳の少年だったというショッキングなニュースがありました(酒鬼薔薇事件)。犯人の少年Aが自分のことを「透明な存在」と表現していたと聞いて、犯罪そのものには全く共感できないものの、その部分だけに関しては、自分も14歳の頃同じように感じていたなと思ったものです。そのせいでしょうか、この曲を聴くたびに、歌詞にあるような「悲しい懐かしさ」で胸が騒ぐのは。

当時お腹にいたノンノン1号も、今は小学3年生。彼も思春期に入ったら「生まれて来なければ良かった」とか、「自分は透明な存在だ」と思うでしょうか。「生まれてきてくれてありがとう」と思っている親としては想像するだけで胸が痛むことですが、そういう道を通ったとしても、いつかは抜け出して「こちら側」へ来て欲しい。まあ、欠点や不満も多い「自分」ではあるけれど、いちおう、そんな「自分」としての人生を生きることを受け入れた人間の側へ。世の中、「からっぽな大人」ばかりではないと、「こちら側」にいる身としては日々実感しているのですが、少年少女の世界からどう見えているのか知りたくなります。

最近なんとなくこの曲が聴きたくて、中谷さんのアルバムをiPodに追加した矢先、高校生が「むしゃくしゃしていたから」写真館の主を殺害するという事件がありました。イライラした→誰でも良いから殺す。なんとデジタルな短絡。犯人となった少年が自分の心の中を表現する力の差というものもあるかもしれませんが、それを差し引いても、酒鬼薔薇事件から9年たって東浩紀さんのいう「動物化」がさらに進行しているように思えてなりません。
Doupostmodern
動物化するポストモダン

ちょっと話が重くなってしまいましたが、この「砂の果実」が入っている中谷美紀さんのアルバム「cure」は、坂本龍一作曲・プロデュースで良曲ぞろい。教授の引き出しの多さを感じさせる作品です。中谷さんは「歌手」としての技巧のようなものはありませんが、透明感のある声とデカダンなイメージが共存できる、稀有な存在感がありますね。「砂の果実」以外では、「いばらの冠」、「水族館の夜」などが特に好きです。この記事を書くためにライナーを見直したら、Buffalo Daughterのシュガー吉永も2曲ギターで参加していたそうで。それ、知らんかっとんてんちんとんしゃん!(なつかし~い?)

Cure
中谷美紀 / cure ('97)

このアルバムは2枚組になっているのですが、Disc 2は30分のアンビエント曲が2ヴァージョンおさめられています。もう、中谷美紀関係ないじゃん!坂本龍一のアルバムじゃん!って感じですが(笑)、中谷さんの発案によるものだということです。

それにしても、このビデオの中谷さん、色っぽいですよね~。*:・゚☆

2006/05/07

Mogwai / Mr.Beast ('06)

ご無沙汰しておりました~。「ぷちネット断食」実験、一応ひとまず終了します(^_^)。ブログへの投稿や閲覧ができなくて、寂しくはあったのですが、やはり、これまでブログに費やしていた時間とエネルギーを使ってリアルライフを振り返ってみるのは有意義なことでした。(振り返ってみたら、家のあちこちに汚れや不要物が溜まっているのがよーく見えてきて、掃除に気合が入ったのなんの ^^;)これからは一日あたりの時間を制限してアクセスしようと考えています。

正直に告白すると、ネット断ち初日にブラウザからこのブログへのブクマを外したときは(意志薄弱なので、けじめとして)ちょっとウルっときちゃいました(^^;)。別にブログそのものをサーバーから消去したわけではないのに。やっぱりここは、私の大好きなモノがいっぱい詰まった場所であり、コメントを下さる方々との貴重な交流の場であることを実感した瞬間でした。

ネット断ちをする前から考えていたことですが、ネットは遠くにいる人たちとのコミュニケーションを可能にしてくれるし、調べ物にも便利だし、本当に重宝しています。でも、便利とは怖いものでもあると、時々思うのです。ネット犯罪に巻き込まれるとか、個人情報が盗まれるとか、そういう怖さもあります。でもそれ以上に私が心配なのは、便利さが人間の身体を気付かないうちに少しずつ変えてしまうこと。

例えば、ワープロソフトを利用するようになってから手書きで書ける漢字が少なくなったとか、携帯や固定電話のアドレスブックに電話番号を登録するようになってから、記憶している電話番号の数が格段に減ったことを実感している人は多いと思います。テクノロジーが脳みその外付けハードディスクになってしまっている。もっと怖いのは、便利さが蔓延しているおかげで、自分を含めて人々が不便さや不快な感覚を我慢する能力が退化していることです。

うちの家人は、時々深夜に「なんか無性にコーラが飲みたくなった!」と言ってコンビニに走ることがあります。コンビニや自動販売機がない時代、ない場所にいたら、我慢してそのまま寝たでしょう。コンビニがあることで、買いに行くこともできるし、買いに行かないこともできる選択権が広がったように思えますが、こういう生活を続けていると、欲求が生じたら買いに行かずにはいられない、我慢することのできない体に知らず知らずのうちになってしまう可能性が(個人差はあるでしょうが)否めません。我慢するしかないことと、我慢することができない体(精神)になってしまうのと、一体どちらが便利なのだろう?と考えてしまいます。

こう書きながらも、私は携帯やPCを捨てて、山奥の村に移住してスローライフを送るぞ! とは全く考えていなくて(^^;)。今後もコンビニ、携帯、PCも便利に利用していくつもりです。でも、バランスを崩しているような気がしたら、ぷちネット断食でリセットするのも悪くないなという手ごたえを感じた「実験」でした。

Mogwai / Mr.Beast

Mrbeast

ネット断ち中に、よーうやくMogwaiの新譜が届きました。
実は発売前から予約してあったのに、ずうっと届かなくて。忘れた頃に、「注文してくれたのは、実はアメリカ国外では売っちゃいけないバージョンだったんだってー!わりぃ、わりぃ!(^^;)ゞ」と(は書いてありませんでしたが)、アマゾンくんからメール。HMVで注文しなおすと、一緒に注文したCD(Mick Karnのシングル)の発売が遅れ、またまた待ちぼうけ。また忘れた頃に「別々に送ろっかー?」のメールをもらい、実に発売から2ヶ月遅れで入手したのでした。普通だったら発送が予定より遅れたら催促メールをじゃんじゃん送るところですが、このCDは発売前からネット上の色んなところに音源が落ちて(^^;)いたので、あんまりハングリーじゃなかったんですよね。

ハングリーではなかったのに、結局、しばらく他のものが聴けなくなりました。1曲、1曲のインパクトというより、全体を通した流れが良いと思います。特に、印象的なピアノのフレーズが徐々にヴォリュームも上げながらひたすら繰り返される1曲目Auto Rockで気分が高まったところで、ハードな2曲目Glasgow Mega-Snakeに突入、そして、繊細な3曲目Acid Foodへ‥‥という冒頭の流れがとても好きです。Glasgow Mega-Snakeはアルバム入手前に聴いたときはアルバムの中で浮くのではないかと想像していましたが、とても自然におさまっています。あと印象に残るのは、日本人ヴォーカリストのポエトリー・リーディングをフィーチャーした、9曲目のI Chose Horses。海外アーティストの曲に日本語がのっかっていると、なまじ意味が分かってしまうだけに興ざめになることがありますが、この曲の場合は、音のイメージが拡張されていくような言葉が使われていると感じました。

そんなこんなで、Mogwaiをヘッドフォンでガンガン聴きながら、家のあちこちを掃除していた2週間。健全なんだか不健全なんだか、分かりません(笑)!

Mogwaiオフィシャル

☆シングルFriend Of The Night

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